フィリピンといえば、近年では格安で受けられるオンライン英会話や留学、そして観光地としても人気を集めています。
フィリピンはアメリカ・イギリスに次いで、世界で3番目に英語を話す人口が多い国です。
そこで英語を話せない日本人が疑問に思うこと。
- なぜ、フィリピン人は英語が話せるのか?
そこにはフィリピンという国の歴史的背景がありました。
この記事では、なぜフィリピン人が英語を話せるかの理由についてお話します。
なぜフィリピン人は英語を話せるか?その理由とは
フィリピンで英語が第二言語として主流となった背景には、歴史や教育体制などが関係しています。
①フィリピンの歴史的背景
- 1565年から約300年にわたりスペインに統治される。
フィリピンは大小の島が数多く存在している他民族国家です。
元々フィリピンには、母国語であるダカログ語のほかにも、地域によって話される170を超える言語が存在していました。
このスペイン植民地の時代に、スペイン語の影響を受けたフィリピン語が誕生し、政府によりフィリピンの共通言語として普及されました。
- 1898年からアメリカの統治下におかれる。
その後、スペインの統治を経てアメリカ植民地の時代に、アメリカによる英語教育が行われるようになったのです。
このような歴史的背景により、植民地時代が終わった独立後の1974年に、省令によりフィリピン語と英語のふたつの言語を併用する教育政策が発表されたのです。
②小学校からしっかりとした英語教育
ほとんどのフィリピン人は小学校から大学まで、国語と歴史以外の授業は全て英語で授業を行っています。
フィリピンの子供たちは小学校1年生が終わる頃には、読み書きや会話の基本的な英語力を身に付けていることを考えると、フィリピンの英語のレベルの高さが伺えます。
フィリピン政府が英語教育を推進する背景には、英語を話せる国民をたくさん増やし、国民が海外に出て働いたり、海外の企業がフィリピン国内に来て、経済が発展すると考えたからです。
国民もまた英語の重要性をよく理解しており、英語を話せると「給料の高い仕事に付ける可能性」が高くなります。
例えば、
- 海外で就職
- 英語講師やコールセンタースタッフ
- フィリピン国内の外資系企業
など、これらの仕事は高い英語力が求められ、フィリピン人は総じて高いモチベーションで英語学習をしています。
また、近年は目覚ましい発展を遂げているフィリピンですが、まだ貧困家庭も多く貧富の差が激しいのが現状です。
中には、両親や兄弟たちに給料を仕送りするために働いているというフィリピン人もいます。
そういった経済的な背景も高い英語力が身に付く一因となっているのです。
③英語が生活の中で根付いている
フィリピンの街には看板やテレビ放送など、目にするものほとんどに英語が使われており、英語が生活に根付いています。
日常生活に英語が溢れているため、英語教育を受けていない人でも流ちょうに話せないまでも、自然と英会話スキルを身に付けることができます。
フィリピン人の英語訛り
訛りとはその地方特有の発音や標準語・共通語とは違う発音のことをいいます。
英語にも日本語と同じように「方言」が存在し、英語は広く世界で話されている言語なので、国や地域によっても発音の仕方が違ってきます。
では、フィリピン人の英語訛りはどうでしょうか?
フィリピン人はアメリカ英語をベースとしており、ショッピングやレストラン、ホテル、タクシーなどでも、ほとんどの場所で英語が話されています。
しかし、フィリピンではタガログ語をはじめとするたくさんの地方の言語があり、普段は人々も現地の言葉で話しています。
フィリピン人ならではの発音や訛りもあり、ネイティブがよく使用するような言い回しやスラングを使うようなこともありません。
これはフィリピン人だから訛りがあるというわけではなく、例えばアメリカ人全てが日本人が一般的にイメージするようなアメリカ英語を話すわけではありません。
東海岸と西海岸では発音が異なりますし、移民が多いアメリカでは黒人系、アジア系、ヒスパニック系などでもそれぞれ訛りが違っています。
どこかに「基準とした英語」があると考えれば、訛りは存在すると言えます。
では、「基準とした英語」とはどんな英語でしょうか?
アメリカ人が話す英語ですか?
イギリス人が話す英語でしょうか?
様々な国が存在し、その国の中の地域ごとでもみんなそれぞれ発音が違うのです。
そう考えると訛りは存在しないともいえるかもしれません。
フィリピン人とネイティブの英語の違い
英会話の勉強で英会話スクールやオンライン英会話を検討する時、
- ネイティブの人から学ぶのが英語を話せるようになる近道じゃないか?
- ネイティブレベルの英語が話せるようになりたい
このように思っている人がいるかもしれません。
では、ネイティブの定義や意味をきちんと理解している人はどれくらいいるでしょうか?
英会話を勉強する際、なんとなくネイティブがいいと思っている人もいるかもしれまんせんね。
では、フィリピン人とネイティブの英語の違いについてお話ししていきましょう。
①ネイティブとは?知っておきたいネイティブのこと
英語を習う際に耳にすることがある「ネイティブ」とはどのようなことでしょうか?
ネイティブの定義や世界でどれくらいいるかについてお話します。
ネイティブとは「英語を母語としている人」のこと
ネイティブの元となった英語の”native”には、
【形容詞】
1.生まれた、出身の
2.天然の、自然の、野生型の、土地の、土着の
3.自分の国の、故郷の
4.生まれつきの、生来の、天賦の
5.母語の
【名詞】
1.先住民、土地の人、~出身の人
2.その国の言語を第一言語とする人
3.〔ある地域に〕固有の動植物
引用元:英辞郎 on the WEB:アルク
よって、英会話におけるネイティブとは、「英語を母国語としている人」を言います。
また、「ネイティブ講師」と言われている人たちが話す英語には、
- アメリカ英語
- イギリス英語
- オーストラリア英語
- ニュージーランド英語
などに分類され、それぞれの国や地域によって発音やアクセント、イントネーションにも違いがあります。
ネイティブ英語を話す人の割合
世界全体の人口は約73億人、その中で英語を話す人は約15億人とも言われています。
一方、英語を人口15億人の中で、ネイティブと言われる人たちは3.8億人(25%)です。
残り75%の11.2億人は、第二言語として英語を習得した非ネイティブといわれる人たちなのです。
②フィリピン人とネイティブの英語の違いって?
- フィリピン人講師の発音は正しいだろうか?
- 間違った発音を覚えてしまわないだろうか?
そのような疑問を感じる人もいるかもしれまんせん。
確かに、フィリピン人の話す英語は、ネイティブの発音とは多少違う場合もあります。
しかし、フィリピン人が話す英語は一つ一つの単語が明確で聞き取りやすく、まるで教科書のようなベーシックで綺麗な英語を話します。
また、フィリピンはアメリカの植民地時代の影響でアメリカ英語に近い英語が話されています。
一方で、ネイティブは単語と単語の間がつながりスピードも速い話し方であり、スラング英語も交えて話します。
まとめ
なぜフィリピン人が英語を話せるかの3つの理由についてお話してきました。
フィリピンは長いことアメリカの植民地支配によって英語教育が行われてきました。
そして、独立後もフィリピン政府によって徹底した英語教育を推し進められました。
それは、英語によってフィリピンの経済的な発展や、グローバル化の波の中で将来英語が役に立つであろうということを考えた結果なのです。
日本でも2020年から小学校で新学習指導要領が実施され、ますます英語教育の重要性が高まってきています。
この記事を読んでいる皆さんもきっと、英語学習について思うところがあるでしょう。
フィリピンと日本では歴史や文化など異なる部分が多いので、一概にフィリピンの英語教育だけがいいとは言えません。
しかし、フィリピン人の英語学習に対する高いモチベーションは見習いたいところですね。
是非、皆さんもこれから続く長い英語学習において、明確な目標を立てて学習をしてみてください。